Vanguard – No緩急(33)

Vanguardをプレイしながら感じ、そしてクリアして確信したのは「うまく緩急を付けられていない」ことだ。本WADは最初のMAPからかなりの難易度であり、中盤(5/13)に差し掛かる辺りには既に他のWADの最終MAPクラスの激しい戦闘となる。これがもし最後までずっと難易度が上昇し続けたというならば、「難易度の高いWAD」という話になるのだが、残念ながら戦闘難易度が変わらない割に敵の数が増えるだけといったかったるいだけの代物となってしまっている。終盤には500体、600体、700体、800体とゲームが進むごとに敵の数が増えるわけだが、敵の出現数に比例して難易度が上昇しないだけでなく、面白くするためというよりもモンスターの出現数を増やすためにMAPを作っているような印象すら受けるので、疲労感ばかりがつのり、どうも好きになれない。

徐々に難易度を上げていくのが絶対的に正しいLevel Designとは考えていないが、中盤で難易度が頭打ちになってしまうのは流石にアクションゲームとしてかなり危うい。製作者のPaul DeBruyneが同時期に出したLunaticは徐々に難しくなっていき、最後の最後に大規模戦闘を持ってくるという理想的で上手な作りだったのだが…。フォローというわけではないが、Vanguard個々のMAPの出来は中々である。ただ、それが全13LevelのWADとして通してプレイするとイマイチになってしまうという話なのだ。

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◆MAP10: Superstructureのワープが珍しいビジュアルだったので少し惹かれた。その他、MAP01-04のちょいムズ加減が良かった

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◆サイバーデーモンにお掃除を頼むだけの簡単な最終MAP

Shadow Ops: Red Mercury – 終盤までは楽しめた

Steamでセールされている時に目に入り、安っぽさが気になったので購入しプレイしてみた。簡単に言えば本作は機械的反応速度と射撃能力を兼ね備えた強敵からなるべく少ない被弾で勝ち進んでいくといった形の非常に簡素なシューターだ。他のゲームと違うのはセーブやチェックポイントが存在しないことで、ミッション開始からクリアまで緊張感が(嫌でも)持続するところ。また、どんなに丁寧にクリアリングしようとしても、T字路に差し掛かる時に左右同時確認は不可能であり、左を見ながら路地に入り込んだ瞬間に前述した機械的反応で右側から撃たれるようなことが頻繁にある。よって「避けられない被弾」がどうしても起こるゲームなのである。

そこでクリアリング以上に大事になってくるのが、回復剤の扱い方だ。つまり、プレイヤー(HP100)が簡単に死なないように数多くの回復剤(HP+25)が置かれてはいるものの、手当たり次第に取得せずに、HPが75以下の時だけ取るようにして回復量を1でも無駄にしないのが重要なのだ。なんとなく想像が付くかもしれないが、中程度以上の失敗をして大ダメージを受けてしまったら場合にはMAPを戻って回復するといったセコセコしたゲーム展開になる。これならば、いっそFEARのように回復剤を何個も携帯できる方式にしたほうが無駄に歩くこともなく、洗練された感じになりそうだが、これはこれで「即座に死なない」いう安心感を生んでしまう可能性もあるため、MAPを一々戻るような面倒臭い作りもそれほど悪くないように思えてきた。

  • 効果音、BGM、動画は結構なレベルで、かなり映画っぽい
  • だが、音響は悪くUnreal EngineやEAXを使っている割りに音がボケていてイマイチ
  • 直線的でリロードが早く、射撃感の良い軽快な戦闘システムは私好み
  • 敵に攻撃を当てた時に、血やエフェクトやリアクションが少ないのが残念
  • 凝ったクリアリングは逆に被弾が増える。コンソールの作品だと意識して「前」を重点的に見ておく
  • リーンも使用可能だが、使い勝手が悪い。使い道が無いというわけではないが
  • こちらからは見えないが、敵からは見えるという状況が多い。霧、雪、炎、煙など
  • オプションから字幕を追加できるが、敵が出現する位置とかぶることが多く、読んでいると被弾する
  • 後半は敵が同じ場所からダラダラと湧いてくるので、面白さが激減

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◆解像度は”RM.ini”の書き換えで変更可能だが、弾倉の所持数が見えなくなる不具合も

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◆特殊部隊ものといっても、かなりカジュアル。MoHAA以降に流行った演出重視のアレだ

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Memento Mori II – WADsを点数化(32)

一年前の1995年に公開されたMemento Moriよりも驚きは少なかったが、Memento Mori II(1996)はなかなかに面白いWADだった。点数をつけるとすれば84点ぐらいだろうか。この点数がどのくらいのものなのか分かりにくいかと思うので、今までにプレイしたWADも一緒に点数化してみると、Memento Mori 91点、Lunatic 80点、Valiant 68点、Scythe 83点、2002: A Doom Odyssey 87点、Earth 70点、Phobos 68点、Requiem 81点、Knee-Deep in ZDoom 72点といった感じ。製品版はと言えば、Ultimate Doom 91点、DOOM II 87点、Master Levels for Doom II 92点、TNT: Evilution 67点、The Plutonia Experiment 77点、No Rest For The Living 85点くらいだろうか。

  • MAP09 – クドイだけ。製作者はMemento Moriの時も同じようなMAPを作っていた
  • MAP11 – 戦闘は分かりやすく、仕掛けは少し頭をつかうだけなのが心地よい
  • MAP18 – どん詰まりしたが、適当に壁にパンチを連打してたらいつの間にか打開できた
  • MAP23 – 濃厚でありながらも、クリア後の後味すっきり
  • MAP28 – 少しずつ道を切り開いて感じが良かった
  • MAP30 – バフォメットの倒し方がパズルになっている。数回やり直せば解ける程よい難易度

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◆Full HD(16:9)のForce aspect ratioを4:3にしてみたところ、Hudはいい感じになったものの、視野角がおかしくて少し違和感

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◆安全な場所から一方的に攻撃するのが俺のジャスティス

Unreal Tournament 3 – やはりCo-op推奨か(5)

やる気なく始めたUT3のキャンペーンはDeathmatchの頻度が少なく、Capture the flagとWarfareばかりで苦行のように思えた。ゲームルール自体は好きでも嫌いでもないが、本来は大勢で遊ぶはずのものを一人でやらなければならないのが辛い。やはりCo-op推奨なのだろうかと考えているうちに、どんどんプレイヤー側の条件も不利になってきて、中盤に差し掛かるあたりで4vs7というような人数差にまできてしまったので、一人で遊ぶのは無理だと判断しゲームを中止した。私の腕でこれほどの戦力差をひっくり返すのは無理だ。UT99にも同じような人数差の条件が存在したが、それは最後の最後だったから頑張れたのである。

というか、そもそもゲーム内容以前に手抜きでもいいのでUT99や2004のように「トーナメント形式」のシングルプレイを作って欲しかった。1勝するごとにトーナメント表上で優勝に近づくのが見えるというのは、ストーリー重視の凝った動画よりも率直に勝利を嬉しく思えるはずなのだ。完全な初心者はマルチプレイでまったく勝てないのが予想されるため、あらかじめ楽しさを教え、自信を付けさせておくのが、本来のシングルプレイの役割だと思うのだが、それをGears of Warに似せた流行りのキャンペーンにしてしまったのが大きな間違いだったのである。

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◆障害物のない平坦な場所でStackする味方Bot達にドジっ娘属性を持っていない私は激おこぷんぷん丸

Heretic – 難易度Thou art a smite-meisterで二周目(6)

Doomで言うところのUltra-Violenceに相当する難易度Thou art a smite-meisterでHereticの二周目をクリア。初回のプレイはSource PortにGZDoomを使ったのだが、今回はDoomsday Engine。内部処理の違いか、こちらはスプライト表示のGZDoomとは比べ物にならないほど滑らかに敵が動くので、とても豊かな気分になる。

ゲーム開始直後は弾薬が少なめでかなり不安だったが、所持武器が増えていくにつれて火力が増えだんだんと余裕が出てきた。Episode2に入るとEpisode1よりも所持できる武器が増えるので、さらに余裕が出てくる。というか、余裕というよりも、もはや弾薬が使い切れないになってくる感じだ。回復剤も過剰で取得できずゴロゴロとMAPに転がったままになるし、そもそも必中攻撃を持つ敵がいないためアーマーさえも削られないので、やりたい放題でゲームを進行できる。KEY取得やスイッチ起動後に背後のドアが閉まるような強制戦闘もないので、いくらでも下がりながら戦えるのも大きい。ここまでプレイヤー優位なバランス調整だと戦闘がつまらないゲームのように思われるかもしれないが、そんなことはなく、作業のごとくモンスターを何百体も処理していくのには妙な中毒性があり、純粋に敵を倒すのが楽しい。恐らくこれはRavenの武器調整が上手だったからだと思う。

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Doomとは違う味付けの武器調整

Doomよりも間違いなく優れているのはピストルに該当する『Elven Wand』だ。まず、独立した弾薬を使っている。これにより、弾薬が共通している上位武器のチェーンガンが手に入った瞬間にお払い箱となるピストルとは違い、しっかりした立ち位置を得ている。次に発射速度がピストルに比べ速くなっている点。これは単純な火力の上昇というよりも、単発で撃った時の正確性を利用しやすいことに繋がる。特に飛行している雑魚敵のGargoyleを倒す際は、どんなに離れた位置にいてもポンポンと単発で狙って撃つだけで、律動的に倒せるのが実に気持ちいい。ここからは設計の問題になるが、即着弾攻撃を持つ敵が登場しないのも、Elven Wandを最後まで使える要因だ。Doomの場合では、攻撃力の低いピストルを装備している状態そのものがダメージを食らうリスクとなるが(敵が即着弾攻撃を行う前に殲滅できない)、Hereticでは目で見て攻撃を避けられる自信があれば、全ての敵に対してElven Wandでの戦闘も不可能ではないのだ。

もう一つDoomよりも上手だと思ったのは、先ほどと少しかぶっているが武器の発射速度(Rate of fire)の調整だ。特にショットガンに該当する『Ethereal Crossbow』は優秀で、攻撃力の高い矢をハイペースで撃てるのが嬉しい。威力と発射速度の兼ね合いが絶妙なのだ。DoomやSerious Samのショットガンは強いが重め、Quakeのショットガンは軽すぎる、Doom3のショットガンは重さの割には弱め、HexenのTimon’s AxeやQuake 4のショットガンは絶妙。と意外に好みにうるさい私にはRavenの武器作りが心地よい。そのEthereal Crossbowで目の前の敵を野太いヒット効果音と共に素早くに殲滅していくのは、脳みそから何かが滴り落ちる感じで幸せな気分になる。そして、武器強化アイテム『Tome of Power』のおかげもあって、どの武器にも違った性質のショットが追加され(弱い武器ほど大きく強化される傾向)、死に武器が無いのも良かったと思う。

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