The Chickenator – ギブアップ

City Interactiveが2003年に世に送り出した本作は、目の前に出現する鳥を撃ちまくってスコアを稼ぐタイプの3Dアクションシューティングだ。恐らく同社が2007年に発売した同型の、鳥を撃ってスコアを稼ぐFPS『Redneck Kentucky』の原型だと思われるが、わりかし楽しく遊べたRedneck Kentuckyとは違い、本作は心底面白くない上に難しく気が抜けないといったカジュアルゲーム(見た目からの判断)として絶望的な仕上がりとなっている。

まずCounter-StrikeのDeathMatch Serverでトップの狙うくらいの気合がなければ、目標スコアに到達しないという難易度設定がヤバイ。アルコールが入ってると無理。しかもAimするだけのゲームだというのにマウス感度が設定できないというのがかなりイケてない。さらに言えば、それほど真剣にやらなければいけないのに、恐ろしいほど単調で制限時間(拘束時間)が長いというのがあまりにもツラい。最初のステージなどプレイヤーは移動もできなければ視界も120度ほどしか確保できないため、右左右とせわしなく視点を動かし鳥を探して撃つだけの作業なのである。また、多くの点数を稼ぐには遠くの、豆粒大の鳥を狙うのがベストなのだが、ほどよくテクスチャがバグっているため、遮るものが無いように見えても鳥に弾が当たらないことが多々あってイライラする。先ほど視界が120度ほどしかないと書いたが、実は敵である鳥はこちらのクロスヘアが届かない場所(125度付近)からも攻めてくるので、敵が接近してくるのが見えているのに迎撃できないという状況が結構発生し、大きなストレスとなる。極めつけは、全4ステージが通しで行われるということだ。つまり失敗するとステージ1からやり直さなければいけない。ステージ1といえども、気合を入れて5分間全力で索敵と射撃を繰り返さねばならないため、神経が削れる割に何も面白くないためとても疲れる。何回かチャレンジしてステージ3まで進めたが、無理してまでクリアする必要もないと判断したためギブアップする。…なにかやり方を間違えていたのだろうか?

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◆Redneck

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◆Omaha Beach

Nina:Agent Chronicles – 前半は謎解き重視

開発はポーランドのLemon Interactiveという集団で、後のCity Interactive(現CI Games)である。2003年発売の本作はタイトルの通り女エージェント「Nina」となり潜入ミッションをこなしていく一人称視点のシューター&アドヴェンチャーだ。女エージェントというと峰不二子(ルパン三世)だとかJoanna Dark(Parfect Dark)だとかViolette Summer(Velvet Assassin,史実)を思い浮かべるかもしれないが、PC Gamer的にはなんといってもCate Archer(The Operative: No One Lives Forever)だろう。どことなく時期的にも合っているし、Game EngineがLithTech2.4とJupterの間のTalon Enigienを採用していることもあるので、ゲームを始めると独特の足音やInterfaceなどから強い既視感を覚える。

内容はCity Interactive毎度のこと銃撃戦がヌルいという他に、ゲームを進行させるための謎解き(パズル)が困難であることが挙げられる。純粋な謎解き難易度はちょいムズといったところだが、プレイヤーへの導き方がハイパー不親切なため、その二つが合わさって「かなり難しい」ということになる。幸いMap自体は広くないので隈なく探索すればなんとかなるとは思うが、近年の親切なゲームに慣れているプレイヤーだと最初のステージすら突破不可能だろう(最初が一番ややこしくて難しいのだけれど)。はっきり言って時間が余って余ってしょうがない人以外はさっさとWalkthroughを見てもいいような気がする。しかしまぁWalkthroughを見てまで遊ぶほどの価値があるかと聞かれると困ってしまうが…高層ビルのMissionだけは階をまたがってエージェントっぽくこっそりと、時には大胆に大物を追い詰めていくのがユニークで良かった。

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◆サイレンサーを使った隠密行動などは無く、戦闘はわりとドンパチ系。また、全体的に銃撃の感触は良い

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◆室内メインだった前半とはガラリと変わり、後半からは遺跡のステージを進むことになる。雰囲気的にはTomb Raiderに近い言えるが、ゲーム内容は謎解きメインから一転目の前の敵をひたすらライトマシンガンでゴリ押していくC級FPSへと変わる。前半が難しすぎたと判断して急遽方向転換したのだろうか。しかしこちらはこちらで簡単すぎて単調すぎて驚きすらも無い

Enemy Front – 大後退

言い切ってしまうが、本作はステルス要素がお粗末な上にシューターとしても劣悪でCryEngine 3を使っている割にはグラフィックが汚らしいといった具合の見どころがほとんど無い駄作だ。このところSniper Ghost Warrior 2やAlien Rageと立て続けに良作を出してくるCity Interactiveに、ファンとしてはどうしても大きな期待してしまうものだが、今回の悲劇的な退化を見てしまうと単純な失敗どころではなく、もはや裏切りとさえ言えるだろう。彼らに向かって、いつまでも他社のゲームエンジンを使ったバリューFPSを作ってろとは言わないが、かといってすぐにでも近年の複雑なゲームが作れるとは思えないので、一芸に特化したタイトルで少しづつ力をつけていって欲しいところ。

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◆最悪の視野性。敵の姿が見えるだろうか

ステルスと戦闘の両方がイケてない

まずステルスの問題点だが、敵から遠い場所をステルスメーターを見ながらしゃがんで歩くだけというゲーム性皆無な点にある。そして道を塞いでいる敵を消音武器で倒すというだけのお決まりのルーチンワーク。このように書くと普通のステルスゲームのように聞こえるが、City Interactive製のAIがとても原始的であるのを忘れてはいけない。というか、そもそも主人公の戦闘能力が従軍記者のわりに高すぎるため、ステルスする必要性をまったく感じない。ここまでならば、よくあるダメステルスゲーということで許せる範囲なのだが、さすがにCity Interactiveは格が違った。なんと、弾薬回復箱がこれでもかというほどそこら中に配置してあるのだ。はっきり言って、体力の自動回復と弾薬を無限に与えておきながら退屈なだけのステルスアクションをしろという方が無理だ。頻繁に設置されている弾薬回復箱を見るたびにステルスに挑戦する意欲が削られていく。さらに言えばプレイヤーが完全にステルスを成功させたとしても、イベントで強制的にドンパチをし始める機会が多すぎて、ステルスする必要性を心の底から感じない。

では戦闘の方はどうかというと、極端に視野性が悪いことが挙げられる。野外での戦闘は特にそうだが、景色と敵の判別がとてもつきにくい。開発している段階で何故誰も止めなかったのが、不思議なぐらいに敵を見つけにくいのだ。また、個人的な事を言えば敵の反応速度も、視野性の悪さを考慮されていないほどに速く、腹立たしい。前述した通り敵を探すだけでもイライラしているのに、敵を発見した後の直接対決になった際にほぼ確実に先制ダメージを食らうのがとてもウザったい。もう少し詳しく書くと、これは機械丸出しの鬼反応速度ではなく、中高生とマルチ対戦しているような常識的な範囲での速い反応速度だということだ。シングルで遊んでいるはずなのに何故か人間と真剣勝負をしているような感覚に襲われるので、本当に疲れる(一応言っておくが中高生に罪はない)。加えてダメージを食らう度に派手な赤エフェクトがチカチカと目に飛び込んでくるのが破壊的なまでに神経に触る。もちろん敵が無警戒状態であるならばそれほど面倒な戦闘にはならないのだが、ステルス放棄のペナルティとしてこのような戦闘システムを用意したというのならば、現状ではプレイヤーがペナルティを甘んじて受けられるほどの作りこみがされていないので、もう少しステルス面をうまく作るか、シューター部分をいつも通りのゆるめに戻してくれたほうがCity Interactiveのファンとしては嬉しい。最後に良かった点を述べておくと、ローディング画面の格好良さとBullet Camを含めた狙撃システムの二つになるが、後者はSniper Ghost Warrior 2の流用だからつまり…。

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◆やっぱりWW2の武器は最高だな!なんて思っていたのは最初の1時間だけ。全体的に武器の威力が低く(敵が硬いわけではない)、当てた感触も悪く、敵のひるみも少なく、命中精度による差別化もほとんどされていないので、シューター目的でこのゲームを選択する価値は無いと言い切れる

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◆壁に向かって必死で援護射撃してくれる味方NPC。あまりのありがたさに涙が出てくる

Sniper: Ghost Warrior 2 – ライフルだけが友さ(7)

Sniper: Ghost Warrior 2は前作Sniper: Ghost WarriorをCryENGINE 3で作り直してCall of Duty 4の風味を足したようなゲームだ。つまり、味方NPCにくっ付いていくか、無線の指示に従って狙撃ポイントに向かい、そこで敵の頭をぶち抜くだけの単調でお粗末なシューターなのである。しかし、お粗末なのはシューターとして見た場合であって、前哨狙撃兵(Scout Sniper)の体験ゲームとしては高く評価できる。味方と息を合わせて敵部隊を殲滅させていくさまは、うまくいきすぎている感じもあるが概ね遊んでよかったと思えるものだ。ストーリーもそれなりに面白く、難易度も高くないため、取っ付き易いのでFPS初心者の人にこそやってもらいたい。

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グラフィックはDirectX9を最高設定にしてGTX660SLIでフレームレート70近くで安定。DirectX11には対応しているものの、DirectX9よりも汚く見えてしまうので忘れてもいいだろう。テクスチャは全体的に荒いものの、近年のゲームの中では平均的なレベル。また、一周しても進行不能級のバグには遭遇しなかったので、前作よりもまともになっていると言える。…バグが面白さを加味していただけに少し寂しいが。

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  • ACT2以降から風が弱くなるので、狙撃のゲーム性が下がる
  • 双眼鏡が高性能で、後半は特にお世話になる
  • 敵がXM-8を持っていることが多く、近代的な印象が強い
  • 日本語化した場合、フォントが丸っこく戦争している気分にならない
  • Sniper Elite V2はスナイパーライフルでの狙撃がゲームの中核になっているので、狙撃手の疑似体験がメインの本作と比較する必要は無い

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ユニークで素晴らしい体験ができた

Alien Rage – HP自動回復型シューターのスタンダード

最初の印象はBulletstormとUnreal 2の良い所を足して割った娯楽性の強いゲームというものだったが、一時間も遊んでいると非常に高い難易度が気になってきた。とにかく敵の攻撃が精確で激しいのだ、体力自動回復を待つため物影に隠れると強力な爆風で削ってきて、やばいと思った時には既に死んでいる。Bulletstormのようにスコアが稼ぐタイプのアーケードシューターにしては難易度が高すぎてゲームデザインがちぐはぐだと思ったのだが、ゲームの中盤に差し掛かるとその考えは一変する。

「物陰に隠れさえすれば」「カバーボタンを押しさえすれば」そんな安易な単純行動をするだけで体力を安全に回復できる、世間で売れているFPSの方がおかしいのだ。一方のAlien Rageは正面の敵と向き合い、プレイヤー自身が持ち前の技量でHPを回復するための安全な場所を作り出すことを求められる。これは体力自動回復型のシューターとして珍しく、アクションゲームとして真っ当すぎる作りである。つまり本作は「死なない程度に顔出して敵を削っていく」シューターから一歩も二歩も進んでいる。よって体力自動回復が好きではないゲーマーにこそ是非触ってもらいたい。

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◆「ヘッドショットォ…ヘッドショットストリィークゥ…」のアナウンスには妙な中毒性がある

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◆ボスとの戦闘は単調だが、メカニックを含めてかなり気に入っている