Legacy of Heroes – いいよいいよー(45)

2017 Cacowardsを覗いていたところ、どうにも古臭そうなWadを見つけたので触ってみた。どこかで書いたように思うが、私はWadに対して革新的であるとか奇抜なものを求めていない。欲しいのはidに近い良質なゲームプレイだけなのである。そういった意味で本Wad「Legacy of Heroes」はよく適合していた。プレイ感覚はDOOM2よりもUltimate Doom(Thy Flesh Consumed)に近いような感じで、前から出現する敵を安定的に、時には大胆に倒していく直線的なものとなっていて、とてもクラシカルで楽しめた。全11Mapというボリュームも丁度良かったように思う。

視覚的にもEternal Doom親父のHUDやHereticのテクスチャを多めに使っていることから、完全にその手のファンに向けたモノであることが分かる。各Mapについては製作者が旅をするかのように連続した設計にしたらしく、無機質な基地のような場所から始まり、平野や城、またはその二つが混じったような場所に移り変わっていく様は、彼が狙った通り少しずつゲームが進行しているように感じた。試みは成功しているように思う。また、どのMapもひと目見て「すごい!」と強い衝撃があるわけではないが、よく見てみると細部まで作り込んでおり、戦闘中に引っかかりが起こりムッとする時もあるが、基本的には「よく頑張ってるなぁ」と感心する。地味かもしれないが質は高い。

gzdoom_2018_01_24_21_30_56_617_Ra
◆後戻りできない、隠れる場所も無い。目の前の敵を即座に倒すしか生きる道はないのだ

gzdoom_2018_01_30_17_48_39_465_Ra
◆後半からかなりMapが広くなっていくが、区画が分かれていると言えばいいか、迷子になることはあまり無い。このあたりも意地の悪さがなく、素直な印象を受ける

以下ネタバレありのスクリーンショット集

続きを読む

Pirate Doom – 素晴らしいっちゅーの(44)

私にとってのゲームの良し悪しとは五感である。特にゲームプレイに相当する触覚は本作を高く評価している。緩やかに上がる難易度は私が心地よく感じる”ちょいヌル~ちょいムズ”の範囲に収まっており、不快さと不満がとても少ない。補足すると、ネガティブな感情を全排除することがゲームデザインの正解というわけではなく、「俺の技量に合った適度なストレスを与えろ」と非常に面倒くさいゲームオタクの要求を満足させてくれたという意味である。

視覚の部分に関しては、全ての敵キャラが海賊風のコスプレをしているだけでなく、船から陸へ丘へ島から遺跡、城へとストーリーに沿ったようなMapの流れは、一つ一つの出来も非常によく、楽しめない方が少数派だと思える。また、他ゲームのキャラクターがこっそり混じっていたりもするが、嫌な感じはせず、素直に遊び心と受け止められる。最後に聴覚であるが、海中や洞窟などで効果音が3D音響っぽく聞こえる特徴が挙げられる。詳しい仕組みはわからないが、WADでは珍しい試みのように思う。音響自体は強引に音をいじった感じがして違和感があるのだが、雰囲気を良くしている面もあるため、総合するとややプラスといった印象。

gzdoom 2017-09-21 22-01-56-52_R
◆眼帯がチャーミングなデーモン

gzdoom 2017-09-24 23-16-48-57_R
◆使い勝手が悪い分だけ威力が超高いダイナマイト

続きを読む

Congestion Control – こーゆーのがいい(43)

軽く遊びたいとTop 100 WADs of All Timeを眺めていたところ、珍しく単一Mapが選ばれていて、興味をそそられたので、とりあえず触ってみた。タイトルのCongestion Controlは直訳すると混雑制御となるが、多少空間がぶつ切りになっているだけで深い意味は無いように思う。アップテンポなBGMと直線的な戦闘が相まって楽しく遊べるデザインだ。ただ、若干手堅い作りなので、気分良く楽しく遊べるけれど、記憶には残らないタイプかもしれない。

gzdoom 2017-09-09 21-39-39-51_R

Perfected Doom 3 – 完璧ではないが優れている(42)

“暑すぎて新しいゲームに手を出したくない”企画の第三弾。今回触れたのは最新のVersion 7なのだが、結論から言えば楽しめた。難易度は一番下のRecruitだったが、バニラDOOM3で言うところのMarineとVeteranの間くらいなので丁度良かったように思う。話が前後してしまったが、Perfected Doom 3はゲームバランスとグラフィックを調整した総合Modだ。例によって詳細はMod DBぎゅんた氏のブログを見てもらいたい。過去Version 4か5か6に触れた際はあまりの難しさにやる気が吹き飛んでしまったが、今回Ver7からフラッシュライトが廃止され、DOOM3 BFG Editionのように武器を持ったままライトを付けられるようになったので、多少簡単になった印象を受け、難易度を下げて挑戦してみたわけだ。バニラDOOM3の懐中電灯と武器を持ち替えるのんびりとしたゲーム性は気に入っているが、思い切り戦闘に特化したバランス調整で懐中電灯はやはり不要なのである。

  • ヘッドショットが重視されており、プレイヤーの技量によってはバニラよりも火力が上がる
  • Recruitだと弾薬が多すぎるので、多少自粛気味にプレイ
  • プラズマガンの効果音が昔のものに…やっぱりこっちなんだよなぁ
  • 少し画質を上げるだけでも2600K@4GHz+GTX980Ti環境でフレームレート60を切る
  • ロストソウルが超強い。一匹でも接近を許すと視界が揺れ続けてゲームオーバーを覚悟
  • ペインエレメンタルが追加されているため、上記ロストソウルへの恐怖が増加
  • 透明なインプも追加。紫色の火球を投げる時しか目視できないため厄介
  • Hell以降にオリジナルMap追加。バニラではあっさり基地に戻ってしまったし、良いと思う

Doom3_2017_07_14_11_55_20_301_Ra
◆懐中電灯と武器の持ち替えがないと、序盤のお化け屋敷にゲーム性は無いんだよなぁ

Doom3_2017_07_18_16_27_36_103_Ra
◆このModで一番愉快なのはヘッドショット成功時だ。ヘッドショットの威力がべらぼうに高いので、狙いすましたショットガン一発もしくは適当に頭周辺を狙った連射武器で、バニラで面倒だったCommandoやRevenantなどを溶かした時には心がスッと晴れる

以下楽しみが増えたり減ったりするかもしれないスクリーンショット集

続きを読む

10 Sectors – 言いたいだけ(41)

10 Sectors(2000)はSectorを10個に制限して作ってあるのが特徴のMegawadです。そのSectorというやつなんですが、Doomの擬似3D空間を描画するのに必要なVertex(頂点)、LineDef(線)、SideDefなどで設定した基本的な構築物(主に壁)がどのように連結しているかを伝えるものです。極端に言えば、こいつが無いとWolfenstein 3Dと同様に天井の高さが一定の平面な空間となってしまうでしょう。もちろん、これはSectorの仕事のほんの一部であり、酸性の床やエレベーターなどいろいろな部分で使われています。この説明でピンときたかもしれませんが、実はこのWAD”Sectorが10個に制限されている”のが如何に大変かを理解していないと真の価値が分からないのです。つまりMap作成経験のある人向けということ。ゆえに、その経験の無い私ではどこがどのように優れているかわかりませんので先に謝っておきます。DOOMすいません。

言いたいことが言えたので話をひっくり返しますが、とりわけ特別な知識がなくてもシンプルで結構楽しめるWADでした。近年…というか、DOOM発売から10年経った2004年あたりからのWADは異常に複雑かつ高難度で、10年選手ではない私には楽しめないものが多いのです。その点10 SectorsはDOOM1のカスタムMAPのような感じで、全体的にあっさりして遊びやすかったです。点数をつけるとしたら77点くらいでしょうか。まぁまぁお勧めできます。ひとつひとつのレベルが小さいのも好印象。

gzdoom 2017-05-14 11-33-30-04_Ra
◆制限のせいか、だだっ広いところや狭く区切られたところが多い

glboom-plus 2017-04-09 22-31-48-19_Ra
◆狭い場所でサイバーデーモンの同士討ちを強制される。基本的にはまったりしたレベルが多いものの、コミュニティの公募から32レベルを選んだということで、激しいMapperのものも混ざっている

続きを読む