先日、人を轢き殺す度に得点が加算されるぶっ飛び設定のカルト映画を鑑賞したところ、圧倒的な表現の自由に感銘を受けると共に「僕も轢かなきゃ」といった使命感が沸々と湧いてきたので、Zombie Driver HDのストーリーモードを軽く一週してみました。本当は積んでいるCarmageddon(1997)の方が映画の設定にも近く、ベストではあったのですが、なにしろ今年は暑い。暑すぎる。こうも暑いとゲームの操作やルールを覚えるのが億劫になるので、一度触れ、感触を掴んでいるZombie Driverと同じであろうZombie Driver HDを思い出したわけです。クリアした簡単な感想としては、気軽に、とても気軽にゾンビを轢くことができるので、その手のゲームが好きな人には良いゲームかと思います。一部の人からは理想的な一芸インディーズゲームに見えるでしょう。
現在Steamストアから無印Zombie Driverは消えており、HDがそれと入れ替わる形になりましたが、変わったのは名前そのままにHigh Definition化したわけではなく(多少は高画質化されているのでしょうが)、画質よりもゲーム設計面が見直されています。特にゾンビが軽くなった点が大きい。私はもちろん、生身の人間を轢いた経験は無いのですが、仮に轢くとなると50kg以上の肉の塊が車体にぶつかるわけですから、かなりの衝撃とともに車は減速してしまいます。この物理演算を真面目にやってしまったのが無印Zombie Driverです。蟻のようなゾンビの群れに突っ込むと、数体を倒した辺りで車が大きく減速してしまい、加速する間もなくゾンビ達に取り囲まれ大ダメージを受けることになります。ざっくり言うと、ゾンビを轢くと不利になります。
私を含めた頭の良くないプレイヤー達は「ゾンビを轢いて気持ちよくなれる」と勝手に思い込んで、トレイラーを注意深く見ず、ゲームを購入したかと思うのですが、実際にそうすると轢けば轢くだけ不利になり、何も面白くないうえゲームのクリアに支障が出ます。後半はそれが顕著で、ゾンビ達が道路の真ん中を我が物顔で練り歩くのを横目に、プレイヤー側は体力を減らさぬよう道路の端をせこせこ運転する展開になり、かなり気分が盛り下がります。この調整自体はリアルで悪くないのですが、それはもっとサバイバル(生き残り)を全面に押したゲームでやればいいわけで、購入者はかなりのミスマッチ感を受けたように推察されます。しかしそれがHDになり、どういうわけか暴力ゲーム大好きっ子が求めているようなものに超変化しました。つまりはゾンビが適度に柔らかく軽くなり、轢いても速度がほとんど落ちず、気軽に好きなように轢ける撃ち殺せる、快楽重視のカーコンバットゲームに生まれ変わったのです。ただ、そのままだと簡単かつ単調な印象を与えてしまうと恐れたのか、バランスをとるように夜間ステージや銃器が使えないステージを挟んだりと、面倒すぎない程度に面倒さを増やしている点がよく出来ています。やはり、多少は苦労した方がゲームは面白いよねといった開発の意思を感じました。
◆超火力の戦車が操作できるステージはお祭り感があって良い
◆まとまったゾンビを倒すのが得意な火炎放射武器
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