Enemy Front – 大後退

言い切ってしまうが、本作はステルス要素がお粗末な上にシューターとしても劣悪でCryEngine 3を使っている割にはグラフィックが汚らしいといった具合の見どころがほとんど無い駄作だ。このところSniper Ghost Warrior 2やAlien Rageと立て続けに良作を出してくるCity Interactiveに、ファンとしてはどうしても大きな期待してしまうものだが、今回の悲劇的な退化を見てしまうと単純な失敗どころではなく、もはや裏切りとさえ言えるだろう。彼らに向かって、いつまでも他社のゲームエンジンを使ったバリューFPSを作ってろとは言わないが、かといってすぐにでも近年の複雑なゲームが作れるとは思えないので、一芸に特化したタイトルで少しづつ力をつけていって欲しいところ。

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◆最悪の視野性。敵の姿が見えるだろうか

ステルスと戦闘の両方がイケてない

まずステルスの問題点だが、敵から遠い場所をステルスメーターを見ながらしゃがんで歩くだけというゲーム性皆無な点にある。そして道を塞いでいる敵を消音武器で倒すというだけのお決まりのルーチンワーク。このように書くと普通のステルスゲームのように聞こえるが、City Interactive製のAIがとても原始的であるのを忘れてはいけない。というか、そもそも主人公の戦闘能力が従軍記者のわりに高すぎるため、ステルスする必要性をまったく感じない。ここまでならば、よくあるダメステルスゲーということで許せる範囲なのだが、さすがにCity Interactiveは格が違った。なんと、弾薬回復箱がこれでもかというほどそこら中に配置してあるのだ。はっきり言って、体力の自動回復と弾薬を無限に与えておきながら退屈なだけのステルスアクションをしろという方が無理だ。頻繁に設置されている弾薬回復箱を見るたびにステルスに挑戦する意欲が削られていく。さらに言えばプレイヤーが完全にステルスを成功させたとしても、イベントで強制的にドンパチをし始める機会が多すぎて、ステルスする必要性を心の底から感じない。

では戦闘の方はどうかというと、極端に視野性が悪いことが挙げられる。野外での戦闘は特にそうだが、景色と敵の判別がとてもつきにくい。開発している段階で何故誰も止めなかったのが、不思議なぐらいに敵を見つけにくいのだ。また、個人的な事を言えば敵の反応速度も、視野性の悪さを考慮されていないほどに速く、腹立たしい。前述した通り敵を探すだけでもイライラしているのに、敵を発見した後の直接対決になった際にほぼ確実に先制ダメージを食らうのがとてもウザったい。もう少し詳しく書くと、これは機械丸出しの鬼反応速度ではなく、中高生とマルチ対戦しているような常識的な範囲での速い反応速度だということだ。シングルで遊んでいるはずなのに何故か人間と真剣勝負をしているような感覚に襲われるので、本当に疲れる(一応言っておくが中高生に罪はない)。加えてダメージを食らう度に派手な赤エフェクトがチカチカと目に飛び込んでくるのが破壊的なまでに神経に触る。もちろん敵が無警戒状態であるならばそれほど面倒な戦闘にはならないのだが、ステルス放棄のペナルティとしてこのような戦闘システムを用意したというのならば、現状ではプレイヤーがペナルティを甘んじて受けられるほどの作りこみがされていないので、もう少しステルス面をうまく作るか、シューター部分をいつも通りのゆるめに戻してくれたほうがCity Interactiveのファンとしては嬉しい。最後に良かった点を述べておくと、ローディング画面の格好良さとBullet Camを含めた狙撃システムの二つになるが、後者はSniper Ghost Warrior 2の流用だからつまり…。

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◆やっぱりWW2の武器は最高だな!なんて思っていたのは最初の1時間だけ。全体的に武器の威力が低く(敵が硬いわけではない)、当てた感触も悪く、敵のひるみも少なく、命中精度による差別化もほとんどされていないので、シューター目的でこのゲームを選択する価値は無いと言い切れる

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◆壁に向かって必死で援護射撃してくれる味方NPC。あまりのありがたさに涙が出てくる

Painkiller – 難易度Nightmareで二周目(6)

先日Abyss of PandemoniumというQuakeのTotal Conversionを遊んでいる時に、ふと本作をやり直したく思ったので、難易度Nightmare(Hard)で軽く遊んでみた。また、初回のプレイでは気にしなかったシークレットの場所も攻略サイトを見ながらではあるが、確認しながらだったので、比較的ゆっくりなプレイとなった。難しいジャンプアクションが必要な場所はパス。

  • ハードウェアの進化だろうか、数年前プレイした時よりもロード時間が短かった
  • FPS駆け出しの頃は気が付かなかったが、よくよくMAPを見てみれば使い切れないほどの弾薬がある
  • SoulcatcherのTarot Card入手後は、格段と射撃に集中できるためシークレット探しを忘れることも
  • 正直ショットガンとフリーザーのコンボは強すぎなんじゃないかと思う
  • やはり杭打ちは最高だった。杭打ちで倒した悪魔の濁った魂を自分の血肉(HP回復)にするあたりが救済や浄化を連想させ、ダニエル(プレイヤー)を悪魔祓い(エクソシスト)と位置づけられる様は、単純な善悪を好む幼稚な私にとって非常に心地の良い癒やしの瞬間なのである(サブサイトルはHeaven’s Got a Hitmanだけど)

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Half-Life: Uplink – 販促用Demoがあった時代(4)

積んでいたことすら忘れていたが、ネットを見ていてふっと思い出したついでに軽く遊んでみた。本作Half-Life: Uplinkは分かりやすく言えばHalf-Life本編未収録のMAPを遊べる体験版だ。元々はスタンドアローンで配布されていたのだが、今回はそれをSteam上のHalf-Lifeで動かすようにしたSteamLinkでのプレイ。内容は、そのままな言い方だが「よく出来た体験版」という感じで、本編以上の激しい戦闘と軽めの謎解きの合わせ技が実にテンポ良く、気持ち良く遊べる。終わり方も憎らしいほどうまく、プレイヤーがゲームに慣れてきたあたりで、唐突かつ気になるような展開でお預けをしてくるのだから、楽しく遊んでいる方は続きがやりたくてしょうがなくなる。

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Abyss of Pandemonium – 走って撃ってハッピー(12)

本作はQuake(1996)のTotal Conversionとして1998年に発売されたが、現在ではそのRetail版が流通していないようなので、多くの修正とともにフリーで公開されたものをModdbQuake “Epsilon” BuildsなどからDownloadしてDarkPlacesなどのSource portでプレイするのが現実的かつ快適だろう。Total Conversionと言っても新しい武器や敵が増えたり、既存の敵の強化とSkinが変更されているぐらいで、基本的にはQuakeのままであり、公式Mission Packのようなノリで遊べる。難易度は少し高くなっているが、追加された武器をうまく使いこなせるようになれば、それほどそれほど困る状況にはならないはずだ。全10ステージのどれもがシューターの楽しさを邪魔することなくうまく作られているので、かなりオススメ。

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◆強力な力でロケット弾を飛ばす新武器Rocket Powered Impaler。撃った後の反動や放たれた弾が放物線を描くあたりがPainkillerのStake Gunとよく似ている。過去にPeopleCanFlyがQuakeに影響を受けてPainkillerを開発していたと言っていたし、本作による影響はひときわ大きかったのではないだろうか?と勝手な憶測

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Retail版のカバーにも描かれているブサイクなボスBlud。弱そうな見た目とは裏腹に素早い上にとても体力が多いので、撃ち殺し甲斐がある

Metro: Last Light – PhysXでより身近になる終末世界(3)

プレイしてすぐに感じたのは前作2033よりもシステムが洗練されていることだ。全体に英語圏で作られたA級タイトルのような気配りがされており、とてもウクライナ人達が作ったようなゲームには思えないほど遊びやすくなっている。これはコンソールユーザーの意見に真剣に耳を傾けた結果なのではないかと思う。ただ、前作に比べてガスマスクを装着した時に視野が狭くならなかったのは、シリーズ特有の没入感よりもゲームプレイが優先されたということでかなり残念だ。代わりにマスクの視界部分に血や泥の汚れがこびり付く演出が追加されたのは良かった。

何やら言いにくい雰囲気を感じるが、私はMetro: Last Lightのストーリーがあまり好きになれなかった。というのも、蛇足のような話から始まり、次に起こるであろう事柄が予測できてしまったし、最後までほとんど興味を惹かれることがなかったのだ。また、戦闘についても難易度がNormalであるのを差し引いても面白い場所が少なかった。アルチョムが硬すぎる上に武器も強力で弾薬も余り気味、ステルス箇所も敵AIが鈍すぎて遊べるものになっていない。よって詳しくは何時の日にか遊ぶであろう高難易度DLC”Ranger Hardcore”をクリアした時に書こうと思う。

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 Cryostasis以来の興奮

さて本作一番の見所はなんと言ってもPhysXである。本作は今までのゲームにありがちだった”一部分でだけPhysXを使っている”という代物ではなく、画面上の何処かで絶えず物理演算がされているといったレベルになっており、歩きながらあたりを見回しているだけでビデオゲームの進化が見て取れる。BattlefieldやCrysisとは違った最高峰のグラフィックを堪能できるだろう。具体的には欠損する柱や床やガラスなどから、冷気や硝煙や湯気などのFogやSmoke Simulation、グレネードの爆発や散らばり弾ける火花、飛び散り滴り落ちる血、ゆらめき燃え上がる炎や吹き上がる水しぶきなどの高度なParticle Effects。そして今まで見たことがないほどの高度な布のなびきを実現したCroth Simulation。これに関してはPhysX無しでも相当なものだが。

プレイしたPC環境はGTX970にGTX480(PhysX専用)とかなり高めであるが、DirectX11でTessellationを最高にするとフレームレートの60維持はギリギリだった。PhysXに関しては目立って力不足に感じた場所は無し。私が購入したのはAmazon.co.jpでダウンロード販売されている日本語版(隔離)なので、最新のパッチが当たっていない可能性が高く、パフォーマンスに関して正確な情報は出せないのだが、もう一年か二年後のビデオカードならば快適かつ綺麗な画質で遊べるようになると思う。現在のシングルビデオカードではTessellationかPhysXのどちらかを諦めなければいけないのでかなり勿体無い。馬鹿げた意見なのは承知しているが、どちらのグラフィック強化機能も本当に力が入っているので、もう一枚ビデオカードを買い足したり、暫しのあいだ寝かせてみたり、数年後にリプレイしたりと何時の日にか最高設定で遊んでほしいものである。

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◆ハシゴを上る女性を見上げて「どこ見てんのよ!!」と怒られるアルチョム

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◆怒られないアルチョム