Mafia: Definitive Edition – 平成のゲームかな(3)

プレイヤーの判断に任されてはいるが、車の運転をスキップできるようになり、アクションアドヴェンチャーからミッションクリア型のTPSにジャンルが変わったように思う。当然スキップしないことも可能ではあるのだが、現代人の可処分時間はどんどん減っており、巨大な街をミッション毎に法定速度を守りながらダラダラと運転するプレイヤーは少ないだろう。遊ぶ側だけの話でなく、作る側売る側としてもスキップ機能を導入した判断は正しい。

運転のスキップ導入は限りなく正しいのだが、ゲームへの没入感は大きく減ってしまったようにも思う。迫力あるボスやいかつい同僚を乗せながら長い時間ハンドルを握っていると、マフィアの一員として活動している感覚を強く感じられる。ここがビデオゲームが映画と違うところで、”そこのいる感覚”は大事な要素だ。ところがスキップを繰り返すと、目的地で銃撃戦を繰り返すだけになってしまう、合間に挟まれる演出が上手なだけのよくあるシューターへと格が下がる。没入感が削がれれば、目の前に起こっていることに重さを感じにくいのだ(=映画でいいよね)。しかしながら、クリアまで20時間以上かかる難しめの無印をやれ、ともスキップを行わずにDefinitive Editionをやれ、というのも負荷が高すぎて私にはとても言えない。繰り返しになるが本作は無駄とも思える部分が非常に重要だと感じているので、やはり余裕ある時間を作りやすかった平成時代のゲームだったのかなと思う。


◆禁酒法のミッションが一番好き。物語的にもターニングポイントとなっている


◆タクシードライバーとして堅気な生活していた主人公のトミーだが、もともとマフィアとしての気質は十分にあったようにも思う