本作は『Timeshift』と言うだけあって時間を遅らせる、止める、巻き戻すといった三つの行動が肝となっている。戦闘を有利に展開させるのは勿論、進行を妨げる障害を取り除く用途にも使われ、早い話が全編で時間を操りながらゲームを進めるのである。戦闘は体力自動回復方式を採用しているが、体力上限が低く設定されているため正面からの撃ち合いは非常に不利。ということで開発者の意向に従い、ガンガン時間を遅らせて(Bullet time)敵を殲滅していくのが良いだろう。はっきり言ってプレイヤー側が有利すぎてシューターとして面白いわけでがないが、格闘漫画の超能力キャラクターになったつもりで遊ぶのならば、なかなか面白いように思う。敵の意識外から遠距離攻撃で仕留めにかかるというのは実に気持ちがいい。
戦闘の他には時間を操作してパズルを解く箇所がいくつか存在するが、それほど難しいわけではなく戦闘の邪魔にはならない。なので「せっかく時間を操作するユニークな作品なので、もう少しパズルの難易度をあげても良かったのではないか」というような一見建設的な意見を書いてしまいがちだが、実のところパズルと戦闘は程よく組み合わさっていて、単調な戦闘の合間に頭の体操が入る感じで中々心地よくダラダラと遊べる。そんなわけで六時間ほどは楽しい気分でいられたのだが、この辺りが『一芸特化』の限界なのかと少し飽き始めた時にThunderBoltというクロスボウが手に入り、ゲームが急速に傾く。高い望遠率と火力と燃費と弾倉容量を持つこの武器に時間操作が組み合わさると敵との戦闘が完全な作業へと変わるからだ。さらに言えば急にAmmoboxが短い間隔で配置されるようにもなり、ThunderBoltの弾薬が尽きない。小まめに自動小銃の弾薬を拾っていた前半はなんだったのか。ThunderBolt登場以降はパズルの方もアイデア不足なのかパッとしないものばかりで食傷気味。私の感覚からすると尺を三割ほど削ったほうが上手くまとまるように思うのだが、ロシア人の感覚からするとプレイヤーが優位な時間は長ければ長い方が喜ばしいのかもしれない。
- ロシアゲーかつPCゲームの臭いが強い
- ストーリーは凝っているように思うが時系列がごちゃごちゃでプレイしながらの理解は難しい
- 初見殺しが多いものの、オートセーブが適切なのでストレスにはならない
- キャンプして少しづつ相手の戦力を削るのが有効な場合と逆に前に出た方がいい時がある
- 後半には敵も爆発物で攻撃してくるが、その攻撃力が高すぎず低すぎずで丁度よい
- お腹いっぱいになるまで時間を操作できるので、そういうのが好きならばオススメできる
以下スクリーンショット集
◆ゴア表現は強め。飛び散るわ、吹っ飛ぶわ、千切れるわで結構な爽快さがある。これでもう少し武器を重くしてくれたら最高だったのに