Vietcong 2 – プレイヤーの心が泥沼戦争

シューター及びゲーム的に面白い箇所は無かったが、市街地のベトナム戦争がどのようなものだったかを知る意味ではなかなか良かったように思う。ジャングルばかりであった前作の補完というか、さらに別の角度からもベトナム戦争を続けて描きたかったのは彼らPterodonなりのこだわりなのだろう。この発想自体は良いが、不幸だったのは一番初めに書いた通り、肝心の出来上がったゲームが酷かった点だと思う。

最も悪かったのはやはり味方AIだろう。プレイヤーの目の前で立ち止まり射線に割り込むのは日常で(交戦中に突如銃が撃てなくなる)、それとは逆に後ろに付いた時は援護射撃でもしてくれるのかなと思いきや素知らぬ顔でプレイヤーを撃ち殺してもくれる。また、敵のキャンプを潰そうとグレネードを投げ込めば、その時に限って何故か猪のごとく敵とグレネードに向かって突撃し、爆死してくれる(当然ゲームオーバー判定)。といった具合に仕事を増やしゲームを盛り上げてくれる味方NPCの存在なしにVietcong 2の戦闘は語れない。一応はNPCに指示が出せたり、進行が致命的になる場面も無いため無視できる範囲ではあるのだが、前作があまりにも偉大で楽しく、興奮や泥臭さを送り届けてくれただけにプレイヤーの期待が大きすぎたようにも思う。

  • 真面目にプレイすれば相当難しいが、クイックセーブ可能なので適宜使うのが良い
  • フレームレートがかなり不安定。当時のDriverを使えば多少はマシになるかも
  • EAXが選択できない場合はインストールファイルをHDDにコピーしてからインストール(バグ)
  • ベトナム側のキャンペーンをプレイすると、アメリカ側の有利さがよくわかる
  • ベトナム側のキャンペーンが短すぎる。市街戦を減らしてジャングルを増やして欲しい(本作否定)
  • 撃つ瞬間だけ頭を出す忍耐強くウザったいベトコンAIに比べ、気が短くすぐに体を晒して突撃してくるアメリカ兵AIがKawaii

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◆はたしてFPSにおける居住空間での戦闘は面白く作れるものだろうか?大通りは特にそうなのだが、ドアや窓、ベランダといった通りに面している場所から敵が出現してくると容易に予想できる。が、それ以外にも建物の影(死角)から突如現れる敵に注意しなければいけないし、むろん正面にも気を抜いてはいけない。つまりクリアリング箇所が多すぎるのだ。そこを開発側は分かっているのかいないのか、目立つ場所だから大丈夫だろうってな感じで気楽にRPG兵を配置してくれるが、本作に限らず初見ではとても防ぎにくい。それに狙撃兵も加われば、簡単にやり直しゲーの完成だ。だからと言って、敵の数を減らしたり反応を遅らせたりすれば、それはそれでゲームとして微妙な感じになるだろう。このような不利なシチュエーションは追体験としては有効だが、現実性と娯楽の調和が難しく、私にはどのゲームもこの場面は微妙に感じてしまう

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◆装備が貧弱なベトコン兵はとりあえず奇襲をかけるしかなかったんだろうなぁ

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Call of Juarez: Gunslinger – 頭撃ってハッピー(3)

好きではあるが西部劇やその時代背景には詳しくないため、その手の話は他のレビュアーに任せて、いつも通りアクションゲームとしての感想を書く。最初に感じたのは非常に”まとも”であることだ。前作The Cartelを触れてみれば分かると思うが、アレはうんこにゲロをトッピングしたような凄まじく酷い代物で、Dead Islandの片手間に作っていたとか、有能な人間が去ってしまったとか、CoJシリーズの未来を大きく心配させられたものだ。しかし、本作を触ってみると、それは思い過ごしであったことに気付く。やはり彼らTechlandは出来る子だったのだ。最重要部分である銃を撃った感触もBound in Blood時代に戻ったようで、とても良い感じ。そのBiBでは弾がまっすぐに飛びすぎることにやや味気無い印象であったが、今作ではスコア制が導入され、弾がまっすぐ飛ぶことに対して前向きな感情を与えることに成功している。さらにストーリーも軽めのものに変更されていて、スコア制との調和もうまくいっているように思う。率直に言ってゲーム作りが大変上手だ。

  • 大作ではないが、優秀なシューターに間違いはなく、値段分は絶対に損しない
  • 嬉しい日本語字幕だが、戦闘中にも会話がドンドン進むため、シングルタスク脳には辛い
  • マウスだとライフル銃が最も安定して強く得点稼げるので、近接銃器が息抜き程度の存在
  • QTEが存在するものの低難易度かつ、ペナルティも少ないためストレスは少ない
  • リロード時間が早くなったのはゲーム的には良いが、雰囲気的にはマイナス

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◆相手のガトリング砲から身を隠している場面。見えづらいかもしれないが正面に石があり、それが転がっている図。実はこの石、ガトリング砲が当たって岩石から削れたもので、それが物理演算されながら転がっている。いやーすごいChrome Engine 5すごい。フレームレートがやや不安定なのも、こういう地味な場所にパワーを使っているからなんだろうなぁ。物理演算だけでなく、単純な見栄えや色合いもゲーム特化といった感じで好印象だ

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◆ダサ格好良い!?強敵と戦う前のカットインは大体こんな感じ

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Dogfight 1942 – 安定のCI Gamesクオリティ

開始30分でエースパイロット気分を味わえるカジュアルなドッグファイト(フライトシューティング)。…というのが最大の売り。それ以外となると申し訳程度に付いているキルカメラくらいか。本作は直感的な操作が可能かつ目の前の敵を倒すだけといった単純で単調なゲームなので、味わい深い楽しみや挑戦を求めているプレイヤーには向かない。だが裏を返せば、戦闘前の離陸にすら練習が必要なシミュレーター的な作品よりもずっと”手に取りやすい”と言えよう。よって、この手のゲームに興味があったり、ステップアップの意味も兼ねて簡単操作で雰囲気を味わうというのも悪くない。また、寝る前に少し起動し、敵戦闘機を蹴散らして良い気分のまま寝るといった安眠装置としても優秀だ。とにかく簡単にヒーローになれるのが良い。不思議と戦闘機で敵機をやっつけると他のジャンルよりもヒーローになった感が強い。

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Vietcong – 難易度Normalで二週目

新年一発目なので、なるべくなら気合の入った文章を書きたかったのだが、遊んだ(選んだ)ゲームが悪かったのか、書きたいことがほとんど無い。面白いゲームを遊んでいる時には脳みそが動かない例の持病だ。実際にプレイしている時も「良いゲームだなぁ・・・」とつぶやいていただけ。その本作を軽く紹介すると、タイトルの通りベトナム戦争が舞台となっていて、現地民(でありながらもアメリカ軍によって訓練された優秀な)ポイントマンであるナットの道案内にしたがってジャングルを少しずつ進んでいくプレイ感覚が非常にユニークであり、ゲーム全体を通して泥沼化していった戦争の雰囲気がうまく作られている。かつ日本語訳も秀逸でありながらも、戦闘も面白いという全てがうまくまとまった奇跡のFPSなのである。未プレイの人にお薦めなのはもちろん、「長いトンネル迷路はもう嫌だお」といった印象が残っている人もリプレイともなれば多少余裕が生まれるはずなので再度当時のアメリカ兵になったつもりで、もう一度やるせない戦争の気分を味わうのも良いのではないだろうか。→Windows7以降用非公式Patch

  • 銃声、BGM、音の定位などサウンド関連は素晴らしい出来。EAXにも対応
  • 休憩しようとEscを押しメニュー画面に戻ると、テーマ曲の「Pseudo Hendrix」が流れ、なんとも言えない味わい深さを感じる
  • レーダー無しの方が面白いのでは?となんとなくオプションから消してみたが…一瞬でマニア向け難易度となってしまった
  • 任務を達成後に狼煙を上げ(or無線連絡)回収用のヘリを待つ。そんな戦争ゲームによくあるシチュエーションだが、Vietcongではわざわざヘリが遠くから時間を掛けてやってくるのである。一見無駄な時間を増やしているだけのようだが、これはこだわりの部分だと思う。耳をすますとヘリが近づいてくる音がじわりじわりと聞こえてきて、無事に生き残った感じが強く湧いてくるのだ

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◆緑ミドリみどりのむせかえりそうなジャングル

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◆いいぞベイベー。逃げるやつはベトコンだ!逃げないやつはよく訓練されたベトコンだ!!
ホント戦争は地獄だぜ!フゥハハハーハァー

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Medal of Honor: Pacific Assault – 歴史を知る意味でも(10)

本作は太平洋戦争を舞台にしたタクティカルな味付けのシューターである。数年前アクション寄りのMedal of Honor: Allied Assaultをプレイした後に本作のDemoを動かしてみたことがあるのだが、あまりの毛色の違いにひどく戸惑ったことを覚えている。しかし、ここ最近ようやく落ち着いたゲームをクリアできるようになってきたので、ふと存在を思い出してやってみたわけだ。…が、あまり面白くなった。その要因はあまりにも基本に忠実かつ窮屈なシューターだからだ。つまりは注意深く索敵を行い、慎重に射撃し、無駄弾を減らし、できるだけ被弾を減らせ、ということなのである。一応はリーダー格の指示に従ったり、味方部隊に指示を飛ばせるので、頭の良さそうなAI(=良いとは断定できない)に頭の良さそうなAIをぶつけるというBrothers in Armsに近いゲームとして遊べなくもないが、面白みに繋がっているように感じなかった。分かりやすいのは制圧射撃を指示し敵の注意を引いている間に別方向から襲撃するといった戦術なのだが、戦う場所が狭いため、自由度以前に答えが半分見えているようなものだ。付け加えると、私は指示を飛ばすのがド下手なので、自分自身で気合を入れたAimでゴリ押ししていく方が良い結果になることが多かった。

ただまぁ、面白くないからといって、それがすなわちダメゲーかというとそうでもない。なにしろ糞真面目に一人称視点型戦争体験ゲームを作ろうと思えば、面白くなくなるのはある種当たり前なのだ。白兵戦に限って言えば、M1ガーランドを持ったアメリカ兵に対して日本兵が正面から戦うわけがないし、ジャングルの中で日本軍が迷彩服を着ながら待ち伏せるという戦闘も実際に多くあったのだろう。CoDであればこれをゲーム(娯楽)としてプレイヤーに苦労をさせず楽しませように作るが、本作MoH:PAでは歴史をなぞるという遊びをプレイヤーに提供したかったように思う。そのため爽快さとは無縁だ。先に述べたようにジャングルでの戦闘がゲーム中でも多いわけだが、視野性は非常に悪く、ゲーム(娯楽)としてはありえない程に敵(日本兵)が発見しづらい。せわしなくちょこまかと動き回ることからも頭はおろか、体に当てるにも一苦労だ。そんな苦しい戦闘をある程度フォローしてくれる衛生兵がありがたい。彼は各Mapにつき四回という制限付きだが体力を全回復してくれるため、ゲーム全体の緊張感を保たせつつも、ある程度の失敗を帳消しにしてくれるのである。このさじ加減が本作で一番優れている点だ。アクションゲーマーでも頑張ればなんとかクリアできるような難易度設定。確かに万人に好かれるというわけではないが、珍しい題材を扱っているわけであるし、盛り上がるスクリプト演出や迫力雰囲気抜群のサウンド+EAX、戦争に巻き込まれたアメリカ新兵の心境、アメリカ側からは見た零式艦上戦闘機などが描かれており、全体を見てみれば質の高いゲームであることに間違いない。歴史の勉強も兼ねて日本人かアメリカ人ならば一周遊んでみるのも悪くないように思う。

mohpa 2016-12-18 11-23-40-32_R
◆ある日の真珠湾。先日演説された「リメンバー・パールハーバーを和解の合言葉に」は流石に「核なき世界」と同レベルにしか聞こえない。日本側の開戦連絡が遅れたとか意図的に石油を止められたとかドイツの同盟だったからとか中国が宣教師を大量に受け入れたとかイギリスに頼まれたとかいろいろな話があるわけだが、わざわざ調べないと手に入らないそんな情報よりも、日本軍が奇襲している絵面がポンと映像で出回ればアメリカはおろか世界中からも悪者にしか見えないわけで

mohpa 2016-12-22 14-05-51-57_R
◆衛生兵のジミー。分隊全員を回復させる頼りになるヒーラー。四次元ポケットから無尽蔵に回復剤を取り出すくせに、主人公トミーにだけは四つしか渡さない鬼畜でもある。大人の事情で不死の肉体を持っているが負傷しないというわけではないので、瀕死になりながらも自分で自分を治療するブラックジャックのような芸当も見せてくれる。シュール。重ねて言うが、彼が居るおかげで戦闘難易度がマイルドになっており、根気があればどのようなプレイヤーでもクリアできるように思う

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