DAIKATANA – 主に戦闘について(2)

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ノルウェーあたりまで来るとサイドキック(味方NPC)を開始場所に放置し(Stay命令)、プレイヤーが敵を殲滅し安全を作ってからサイドキックを連れてゴールに向かうといった、本作の基本的な概念を根本から否定するような異常行動に対して、何の疑問を持たなくなってくるので、”やや面倒で質の悪いアクションシューター”という評価に落ち着くだろう。もしもバカ正直にサイドキックと共にゲームを進行してクリアまでいったとすると、ディスプレイかキーボードかマウスか壁かプレイヤー本人のどれかが壊れている状態のように思う。

Episode2にあたるギリシャ編はとても楽しめた。他の要素はさておき大刀をブンブン振り回せたからだ。例えそれが質の悪いアクションゲームだとしても、PCゲーム「大刀」の強い個性であることに間違いはなく、バッサバッサ敵を切りつけていくうちに大刀のレベル(威力)が上がっていく様もなかなかビデオゲーム的な満足感を感じる。結構な数のゲームにおける”打撃の威力向上”というのは、意外と数値の大小であることが多く、頭で理解させられることが多いが、本作では刀自身からオーラが吹き出てきたり、ぶった切った敵から血が派手に飛び散るような視覚的な褒美があり、直感的に成長を感じ取りやすい。ここは素直に褒めるべき点だ。しかしEpisode3のノルウェーまでくると大刀の出番が大きく減ってしまう。個人的にはどうも中途半端な印象であるが、客観的には銃器と大刀をバランスよく使い分けでことで戦闘を有利に進められるようになっているので、それなりによく出来ているのだろう。これが最後のサンフランシスコになると、大刀の出番がさらに減る上に近代的で没個性な武器ばかりが登場して、よくあるB級C級FPSになってしまうのがとても残念だった。出番が減るというのは少し違うか、銃器を使うほうが圧倒的に被弾を減らせる。面白いか面白くないかで言えば、その手の安っぽいゲームが大好物なのでまぁまぁ面白く感じたが、最後のEpisodeにしてはあっさりしすぎて、なにやらモヤモヤしたものが残る。やはり面倒な京都とEpisodeの順序を入れ替えて右肩上がりの難易度上昇にするか、よりアクの強いデザインで悪い方に突き抜けた方が良かったのではないだろうか。

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高度なAIとの共闘はどうなる

この度DAIKATANAに触れてみて、HL2EP1(2006)のアリックスと同レベルのAIであれば、ロメロの構想していたゲームが制作可能だったのではないかと感じた。Mapの狭さが技術的な問題でなく、意図したものであるとすれば、おおまかな雰囲気としてUT2003が最も近いように思う。つまり技術が追いついた今こそ、作り直してみれば結構イケるんじゃね?といった考えに繋がるのだが、ここ15年で味方NPCと行動して面白かったFPSがあったかを思い出そうにも、意外と無かったように思う。もちろんアクセントとして一時間程度いっしょに行動するだけならば、そのどれもがそれなりに面白いわけだが、10時間以上の長丁場で通用するかというとかなり怪しい。

また、味方NPCの調整自体も難しく、強くしすぎるとプレイヤーの意欲を減らすだろうし、弱くしすぎるとお荷物にしか感じないだろうし、だからといって同じくらいの力量にするとなんだか気持ち悪く感じるように思う。今言った事柄と私の想像力とFPS業界の歩みを考慮すると、どうもAIのお供が付いた長編FPSは面白いゲームになる気がしない。だがしかし、ロメロとDAIKATANAを否定しているわけではない。96年辺りに「こういうのが面白いんじゃないだろうか」と考えついた彼を敬服するし、むしろ現在よりもさらにAIが進化し、ゲー ムをうまく盛り上げるような自動学習機能の付いた人間くさい”ゲーム専用の人工知能”さえ完成すれば、アドリブ行動も増えるだろうし、プレイヤーの動きを分析し適切なサポートしてくれたりと、なんだか結構楽しくなりそうな気がする。ただ、そこまでAIが発達するとFPS以外のジャンルの方が伸びていきそうではあるのだが。

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◆当たり判定がひねくれ者の大刀。人型の相手には強いが、地を這う小動物や空飛ぶ化物は苦手。空中にいる相手には銃器が非常に当てづらいため、弾薬の節約をかねて「当たってくれー」と念を込めて振り回していた。爽快さと無縁

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◆あらゆる意味でプレイヤーの足を引っ張ってくれる問題児Mikiko。同様の場所でゴリマッチョ体型のスーパーフライよりもスタックする彼女を見ていると…こう、血の巡りが良くなる

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DAIKATANA – 進行度50%(1)

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京都編とギリシャ編の二つをクリア。ボリュームのある作品なので久しぶりに記事を二つに分けてみた。まず京都編だが、世間で言われている通り、なかなかの酷さだ。やたらと主人公の体が引っかかる狭いMapで、小さく素早いうえに動きの予想がしづらいカエルやトンボを相手にするのは結構なストレス。もしかしたら富野作品のファンかつ重度のクソゲーマーならば「落ちろ蚊トンボ!」などとノリノリで遊べるかもしれないが、9割以上のプレイヤーには「クソ」と一蹴される代物だ。別の視点から、ジョン・ロメロはプレイヤーが嫌がることをよく知っているからこそ、あえてわざと、このようなレベルデザインをしたことに対して奇才という風に評価できなくもないが、それは熱狂的なファンであるかひねくれ者であり、素直な考え方ではない。付け加えると、音の定位も異常に悪いため、戦闘面において耳が使える場面が無い。これにより上空から攻めてくるトンボの対処の面倒臭さが上がる。同時期にでた同EngineのSoldier of Fortuneの音の定位はとても良かったのだが。

一応というか、個人的には京都編は笑える系のクソゲーであると明記しておきたい。「あ~なんでこうちゃったのかなぁ」「戦闘つっまんねぇなぁ」「サイドキックシステム要らないっしょ?」「わざと武器を使いづらくしただろ!」「やっぱり白い粉でも吸ってたんじゃないかな…」と全編にツッコミどころしかないので、肩の力を抜きやや斜に構えた感じで遊ぶと結構愉しめるからだ。酷いのは確かだが思ったほど酷くないというのが素直な感想。これが笑えない系クソゲー代表のHaloあたりだと「なぜ俺がこんな漢字ドリルみたいなことをせにゃならんのだ」と殺意めいたものが沸くのだが、そういうのとは大きく違う。同じクソゲーカテゴリでも、やはり笑える系に属している方はかなり救いようがあるように思う。ゲームの最終目的は楽しむことであり、ゲームそのものがたとえつまらなかったとしても、もちろん面白い方が良いのだが、プレイヤーを楽しい気分にさせてくれるのであれば、それはそれで十分なのではないだろうか。少なくとも日本語版Ver1.1ではそのように感じた。

ところ変わってギリシャ編はかなり面白い。その面白さとはMapを進めていく楽しさだ。文章ではうまく伝えられないが、先を見てみたいという心を大きく刺激される。京都編よりはマシとはいえ戦闘は相変わらずつまらないし、サイドキック(味方NPC)が足を引っ張るわで、大刀(Melee)に爽快感が無いわでアクションゲームとしては酷いものだが、Map単体の質は間違いなく高い。ここまでくると、アクションアドヴェンチャーとして評価した方が良いのではないかと思えてくるほどだ。Rune(2000)あたりも同じで、戦闘が微妙でも先に進むのが面白かったし、それと同様のカテゴリに分類したいように思う。続くノルウェーとサンフランシスコもこのギリシャと同じくらいの質であれば良いのだが。

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◆タイトルにもなっている近接武器の大刀。強めの調整にはなっているものの、振り回して楽しいものではない。不可解で不快な一回のクリックで二回切りつける糞仕様は、やはりロメロが影響を受けたというクロノトリガーのオマージュだろうか?(主人公クロノの最強武器「にじ」はクリティカル率70%の壊れ武器で、クリティカル時には二回切りつける演出が抜群に格好良く、爽快感と強力さを同時に味わえた)

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◆無限に使える体力回復装置が各所にあるため、理不尽さを感じるような難しさではないが、80年台RPGのように少し進んでは回復のために戻るといった作業めいた行動に感心はできない