Mafia: The City of Lost Heaven – 適切な負荷か(2)

本作はクドくて面倒な場面が多い。しかしそれらが、必ずしもマイナスだけを意味するわけではない。プレイヤーへの適切な負荷はビデオゲームを味わい深くするための必要なものであると考えられる。スイスイとあっさり進むゲームが楽しいのだろうか?きっと楽しいには楽しいが、どこか薄っぺらい、ひと時の娯楽や時間潰しといった側面が大きいように思う。記憶からもすぐに抜け落ちる。

本作は主人公トミーが元タクシードライバーかつ新入りということもあり、運転する場面をやたらと求められる。アジトであるサリエリ・バーからミッション遂行場所までの毎回の行き帰りの運転ははっきり言って面倒だ。法定速度と交通ルールを守らなければならないというオマケもつき、問題が起きないよう安全運転するだけで面白みの無い時間を長時間強いられる。しかし、このダルくて面倒な負荷がだんだんと良く思えてくる。問題が起きぬよう神経を使い運転するという行為が現実感を高め、それが仮想都市ロストヘブンでの活動と重なることで、ゲームへの没入感が高まっていくのだ。先ほど書いた「安全運転するだけで面白みが無い」というのはアクションゲームとしての視点であり、それを差し引いても、余るほど増えた没入感がマフィアを疑似体験するアドベンチャーゲームとしての価値を大きく高めている。


◆DirectX8時代のグラフィックとは思えないほど細かく書き込まれた主要人物の顔(表情)


◆禁酒法時代のマフィア抗争

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