Bulletstorm – 難易度Hardで二週目(3)

難易度をHardに上げ、FlawlessWidescreenでFOVを広げ、全てのシーンをスキップしてクリア。難易度とFOVについて深い理由は無く、とりあえず快適に、とりあえず難しくしてみた、といったところ。スキップについてはCoDを皮肉ったPVを出した手前(EAの指示?)、どれほどシューター以外の無駄な時間を飛ばせるのか興味があったので検証。これは思いのほか健闘していて、開始30分以降のイベントシーンをほぼ全て飛ばせるようになっていたので、近年のゲームにしては思い切りが良いように思う。アクションに集中できる。個人的にはスキップ誤操作防止を作って、全てのイベント会話を破壊しても良い。

予想通りというか難易度をHardに上げても、ゲームは難しくならなかった。というのも、本作はMelee(近接攻撃)がスキルショットという形でかなり重要な位置にあり、むやみに敵の攻撃力を上げてしまうとMeleeが使いにくくなり、突き抜けた個性が死んでしまうからだ。そもそも本作はプレイヤーが敵に一方的にやっつけてスコアを稼ぐだけの”フルボッコ系FPSエンターテイメント”ということもあり、敵は甘噛ばかりでプレイヤーを本気で殺しにこない。それがNormalだけでなくHardでもそうだったということだ。また、面白いか面白くないかで言えば、一周目と同様にChapter4(全7Chapter)までは楽しめた感じ。およそ、このあたりで武器のアンロックが完了してしまい、ポイント(お金)が余るので、スキルショットへの意欲が大きく下がり、急速に消化試合ムードに変わっていく。さらに言えば、このスキルショットシステム自体もかなり薄っぺらいので、二週目のプレイともなれば、いや、先にも書いた通り一周目からなのだが、とても飽きやすい。正直CoDをDisれるほどの出来ではないのだ。

今回People Can Flyがコンソール向けに操作を簡略化し頭を空っぽにして遊べるようにした明るい雰囲気のBulletstormであるが、それとは逆にPeople Can Flyの元メンバー達(The Farm 51)がPC Gamer向けにコアで渋く暗い調整したNecroVisionを開発したのを思い出した。両者はとても対照的である。DOOM(1993)がPCでもコンソールでも楽しめるような懐の深い(?)作りであるように、Painkiller(2004)も両者が楽しめるようなバランスであると私は考えているのだが、彼らが別の開発チームに分かれ、味付けが逆方向のゲームを作った。別段それが良いとか悪いという話ではなく、単純に開発者たちの方向性という奴は同じチームにいても結構違う、または変わっていくものなのだなぁとそこはかとなく思った。

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◆こういう色彩感覚は好き

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◆大きいことは良いことだ

DAIKATANA – 主に戦闘について(2)

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ノルウェーあたりまで来るとサイドキック(味方NPC)を開始場所に放置し(Stay命令)、プレイヤーが敵を殲滅し安全を作ってからサイドキックを連れてゴールに向かうといった、本作の基本的な概念を根本から否定するような異常行動に対して、何の疑問を持たなくなってくるので、”やや面倒で質の悪いアクションシューター”という評価に落ち着くだろう。もしもバカ正直にサイドキックと共にゲームを進行してクリアまでいったとすると、ディスプレイかキーボードかマウスか壁かプレイヤー本人のどれかが壊れている状態のように思う。

Episode2にあたるギリシャ編はとても楽しめた。他の要素はさておき大刀をブンブン振り回せたからだ。例えそれが質の悪いアクションゲームだとしても、PCゲーム「大刀」の強い個性であることに間違いはなく、バッサバッサ敵を切りつけていくうちに大刀のレベル(威力)が上がっていく様もなかなかビデオゲーム的な満足感を感じる。結構な数のゲームにおける”打撃の威力向上”というのは、意外と数値の大小であることが多く、頭で理解させられることが多いが、本作では刀自身からオーラが吹き出てきたり、ぶった切った敵から血が派手に飛び散るような視覚的な褒美があり、直感的に成長を感じ取りやすい。ここは素直に褒めるべき点だ。しかしEpisode3のノルウェーまでくると大刀の出番が大きく減ってしまう。個人的にはどうも中途半端な印象であるが、客観的には銃器と大刀をバランスよく使い分けでことで戦闘を有利に進められるようになっているので、それなりによく出来ているのだろう。これが最後のサンフランシスコになると、大刀の出番がさらに減る上に近代的で没個性な武器ばかりが登場して、よくあるB級C級FPSになってしまうのがとても残念だった。出番が減るというのは少し違うか、銃器を使うほうが圧倒的に被弾を減らせる。面白いか面白くないかで言えば、その手の安っぽいゲームが大好物なのでまぁまぁ面白く感じたが、最後のEpisodeにしてはあっさりしすぎて、なにやらモヤモヤしたものが残る。やはり面倒な京都とEpisodeの順序を入れ替えて右肩上がりの難易度上昇にするか、よりアクの強いデザインで悪い方に突き抜けた方が良かったのではないだろうか。

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高度なAIとの共闘はどうなる

この度DAIKATANAに触れてみて、HL2EP1(2006)のアリックスと同レベルのAIであれば、ロメロの構想していたゲームが制作可能だったのではないかと感じた。Mapの狭さが技術的な問題でなく、意図したものであるとすれば、おおまかな雰囲気としてUT2003が最も近いように思う。つまり技術が追いついた今こそ、作り直してみれば結構イケるんじゃね?といった考えに繋がるのだが、ここ15年で味方NPCと行動して面白かったFPSがあったかを思い出そうにも、意外と無かったように思う。もちろんアクセントとして一時間程度いっしょに行動するだけならば、そのどれもがそれなりに面白いわけだが、10時間以上の長丁場で通用するかというとかなり怪しい。

また、味方NPCの調整自体も難しく、強くしすぎるとプレイヤーの意欲を減らすだろうし、弱くしすぎるとお荷物にしか感じないだろうし、だからといって同じくらいの力量にするとなんだか気持ち悪く感じるように思う。今言った事柄と私の想像力とFPS業界の歩みを考慮すると、どうもAIのお供が付いた長編FPSは面白いゲームになる気がしない。だがしかし、ロメロとDAIKATANAを否定しているわけではない。96年辺りに「こういうのが面白いんじゃないだろうか」と考えついた彼を敬服するし、むしろ現在よりもさらにAIが進化し、ゲー ムをうまく盛り上げるような自動学習機能の付いた人間くさい”ゲーム専用の人工知能”さえ完成すれば、アドリブ行動も増えるだろうし、プレイヤーの動きを分析し適切なサポートしてくれたりと、なんだか結構楽しくなりそうな気がする。ただ、そこまでAIが発達するとFPS以外のジャンルの方が伸びていきそうではあるのだが。

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◆当たり判定がひねくれ者の大刀。人型の相手には強いが、地を這う小動物や空飛ぶ化物は苦手。空中にいる相手には銃器が非常に当てづらいため、弾薬の節約をかねて「当たってくれー」と念を込めて振り回していた。爽快さと無縁

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◆あらゆる意味でプレイヤーの足を引っ張ってくれる問題児Mikiko。同様の場所でゴリマッチョ体型のスーパーフライよりもスタックする彼女を見ていると…こう、血の巡りが良くなる

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DAIKATANA – 進行度50%(1)

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京都編とギリシャ編の二つをクリア。ボリュームのある作品なので久しぶりに記事を二つに分けてみた。まず京都編だが、世間で言われている通り、なかなかの酷さだ。やたらと主人公の体が引っかかる狭いMapで、小さく素早いうえに動きの予想がしづらいカエルやトンボを相手にするのは結構なストレス。もしかしたら富野作品のファンかつ重度のクソゲーマーならば「落ちろ蚊トンボ!」などとノリノリで遊べるかもしれないが、9割以上のプレイヤーには「クソ」と一蹴される代物だ。別の視点から、ジョン・ロメロはプレイヤーが嫌がることをよく知っているからこそ、あえてわざと、このようなレベルデザインをしたことに対して奇才という風に評価できなくもないが、それは熱狂的なファンであるかひねくれ者であり、素直な考え方ではない。付け加えると、音の定位も異常に悪いため、戦闘面において耳が使える場面が無い。これにより上空から攻めてくるトンボの対処の面倒臭さが上がる。同時期にでた同EngineのSoldier of Fortuneの音の定位はとても良かったのだが。

一応というか、個人的には京都編は笑える系のクソゲーであると明記しておきたい。「あ~なんでこうちゃったのかなぁ」「戦闘つっまんねぇなぁ」「サイドキックシステム要らないっしょ?」「わざと武器を使いづらくしただろ!」「やっぱり白い粉でも吸ってたんじゃないかな…」と全編にツッコミどころしかないので、肩の力を抜きやや斜に構えた感じで遊ぶと結構愉しめるからだ。酷いのは確かだが思ったほど酷くないというのが素直な感想。これが笑えない系クソゲー代表のHaloあたりだと「なぜ俺がこんな漢字ドリルみたいなことをせにゃならんのだ」と殺意めいたものが沸くのだが、そういうのとは大きく違う。同じクソゲーカテゴリでも、やはり笑える系に属している方はかなり救いようがあるように思う。ゲームの最終目的は楽しむことであり、ゲームそのものがたとえつまらなかったとしても、もちろん面白い方が良いのだが、プレイヤーを楽しい気分にさせてくれるのであれば、それはそれで十分なのではないだろうか。少なくとも日本語版Ver1.1ではそのように感じた。

ところ変わってギリシャ編はかなり面白い。その面白さとはMapを進めていく楽しさだ。文章ではうまく伝えられないが、先を見てみたいという心を大きく刺激される。京都編よりはマシとはいえ戦闘は相変わらずつまらないし、サイドキック(味方NPC)が足を引っ張るわで、大刀(Melee)に爽快感が無いわでアクションゲームとしては酷いものだが、Map単体の質は間違いなく高い。ここまでくると、アクションアドヴェンチャーとして評価した方が良いのではないかと思えてくるほどだ。Rune(2000)あたりも同じで、戦闘が微妙でも先に進むのが面白かったし、それと同様のカテゴリに分類したいように思う。続くノルウェーとサンフランシスコもこのギリシャと同じくらいの質であれば良いのだが。

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◆タイトルにもなっている近接武器の大刀。強めの調整にはなっているものの、振り回して楽しいものではない。不可解で不快な一回のクリックで二回切りつける糞仕様は、やはりロメロが影響を受けたというクロノトリガーのオマージュだろうか?(主人公クロノの最強武器「にじ」はクリティカル率70%の壊れ武器で、クリティカル時には二回切りつける演出が抜群に格好良く、爽快感と強力さを同時に味わえた)

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◆無限に使える体力回復装置が各所にあるため、理不尽さを感じるような難しさではないが、80年台RPGのように少し進んでは回復のために戻るといった作業めいた行動に感心はできない

Singularity – Raven先生の次回作に

良いゲームだった。点数にすると84点から77点の間くらいだろうか。確実に売れるゲームを作ったといった感触だ。Half-LifeやF.E.A.R.やCryostasisやTimeshiftなどの人々に受けている要素をうまく混ぜて、面白いように調整して作ったというのは、さすが長年FPSを製作してきたRavenと言うべきか。が、しかし、やや薄っぺらい印象を拭えない。なぜならば一周遊べばそれで満足できてしまうような作りだからだ。二週すると違う面が見えてくるという意見もあるが、基本的には「どこかで見た要素を組み合わせたゲーム」であり、「中盤以降の主人公がオーバーパワー」であり、「アイテム拾いが面倒」なので、二週目をやろうと意欲が湧かない。二つ目と三つ目に関してはDeadSpaceのように高難易度の高難度化とパワーアップ状態の引継ぎを組み合わせる形でプレイヤーを誘導できるように思うが、一つ目の「どこかで見た~」を覆すほどの仕組みと面白さと力強さをSingularityは明らかに持っていない。長年FPSを遊んでいる層だと、あ~FEAR(ジャパニーズホラーorお化け屋敷)っぽいな~、あ~Half-Lifeぽいな~、あ~Legendaryっぽいな~といった一週目から既視感バリバリのプレイになっているはずだ。近年FPSを始めた層は分からないが、少なくとも私にとっては本作は一周で十分なゲームなのである。

…と、ここで話をひっくり返すが、実はそんなことはどうでもいいのだ。今まで話した意見というのは一般的な開発会社であればという話であり、作ったのがRavenだと別の話になる。そもそも過去Ravenの作ったHeretic、Hexen、Soldier of Fortune、Quake 4、WolfensteinといったFPS達は全体の出来はさておき、銃を撃った感触が抜群に良く出来ていた。逆に本作Singularityは全体の出来が良く、銃の感触がスカスカといった真逆になっていることに注目したい。私のような五感を重視して遊ぶFPSゲーマーにとって、Ravenがこのようなゲームを作ったことは非常に痛手である。市場を理解しているから彼らだからこそ「ああ、ついにお前らもこういうゲームを作るようになったのか」と残念な気分になる。まったく人(ゲーマーor私)というのは我侭なもので、Ravenがくどい戦闘ばかりを用意すればやり過ぎだと言い、優等生的で優秀なゲームを作ればまた別の不満を言う。しかしながら、Ravenは有能な集団なのである。恐らく現在の彼らはCoDの外注にて資金的余裕があるはずなので、DOOM(2016)が世間に受け入れられているのを見ながら、本作のような高いまとまりのシステムかつ、銃を撃つ感触の良い最高のQuake5やそれに変わるピュアなシューターを作ってくれるのではないかと大きく期待している。なにしろ市場をよく見ているのだから。

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◆壊れた橋の時間を戻し直す。UnrealEngine3で開発した最大の利点はこのビジュアルだと思う。実に見栄えが良い

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◆ひとつ上のスクリーンショットで分かるようにビジュアルは強化されたが、その弊害として実弾武器の感触が悪化した。もともとUE3は実弾武器には向かないのかもしれないが、Tom Clancy’s Rainbow Six: VegasやMedal of Honor: Airborneなどを見ている限り、絶対に無理というわけではなさそうだ。しかしながら、出来上がったのは意図的なのか技術的な問題なのか、撃っていてあまり面白みを感じないものだったのが残念

They are Alive! – 祖国と職のために戦え

GamersGate版を難易度Mediumでクリアした。本作はロシアのOrion Gamesが制作したバリューFPS(?)だ。ここが開発したゲームはHellforces、The Stalin Subway、The Stalin Subway: Red Veil、Dusk-12に続き五つ目となるわけだが、それらに比べ最もボリュームが少なく、また最も遊びやすいゲームとなっている。一応言っておくが、遊びやすいことが面白さに繋がっているかというとそんなことはなく、体力が自動回復方式に変わった分だけ、元から雑だった敵の配置がさらに雑になったようで作業感が強くなった。個人的にはDusk-12の方がシューターとしてまともだったので、これを焼き直しても良かったのではないかと思うが、市場の反応は良くなかっただろうな。見どころと呼べる点は、従来から続く個性的なBGMと唐突に宇宙人やロボットと戦う超展開くらいなもので、そういうのが好きなプレイヤーは楽しめると思うが…まぁ…。

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◆デュワ!真実のサングラス(仮)を掛けることで、自分の職場と国を侵略し始めた奴らの正体を見破れるようになる

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◆全体的に戦闘の面白いAIではないが、集団で現れるアンドロイドの敵は特にプレイヤーを認識しない系の動きで、集団でプレイヤーを無視しながら位置取りをするあたりが、なかなか気分を盛り下げてくれる